2020年にパンデミックが発生して以来、従来は旅行に向けられていた予算の一部がいつしか食事に向けられるようになり、その過程で私は寿司が好きになっていた。
天ぷら、すき焼き、牛丼など、日本発祥の料理は数多くあれど、日本のみならず世界中にファンがいる日本人の国民食と言えばまず寿司が思い浮かぶ方も多いのではないだろうか。 先日東南アジアを周遊した際にも、街中で数多くの SUSHI Restaurant を見かけた。 それほどまでに人気を博している寿司だが、意外と寿司を握ったことがあるという方は少ないように思う。 少なくとも私が育った家庭で自家製の寿司が出てきたことは一度もなかったし、周囲でも家庭で寿司を作ったという話はあまり聞かない。
ほとんど自炊をしない料理素人の私からすると、(かつては)寿司は刺し身をシャリにのせるだけの比較的簡単な料理に見えていた。 一方で、都内の高級寿司屋で食べるとそれなりにお金がかかってしまう。美味しい寿司は食べたいが、できればお金はかけたくないというのが人間の性(さが)だ。 となると、ソリューションは一つ。そう、自分で作るのである。
そこで、寿司レッスンに通って寿司の握り方を学ぶことにした。 東京都内や近郊で寿司を学べる教室は幾つかあるが、私は日本橋すし教室に通うことにした。 数年前に話題になった寿司アカデミーも検討したが、レッスンの回数が全40回と当時会社員だった私にはヘビーだったため、今回は全4回の短期講座があった日本橋すし教室に通うことにした。 カリキュラムは次の通りだ。
カリキュラム
- 1日目
- だし巻き卵の作り方
- シャリの握り方
- 細巻き(海苔巻)の作り方
- 2日目
- シャリの炊き方
- 鯵のさばき方(三枚おろし)
- サーモンのさばき方(柵取り)
- 握りの練習
- 3日目
- 海老の仕込み方
- イカのさばき方
- 握りの練習
- 4日目
- コハダの仕込み方・切り付け方
- 握りの練習
全てに言及するとキリがないので、ここでは次の2つのトピックについて言及することにする。
1. シャリの握り方
シャリなんて米を手にとって握るだけ、そう思っていた時代が私にもありました…。 実際に握ってみると、思った以上に形が不格好になり、うまく握れない。 レッスンを経て、私も当初よりはまともに握れるようになったがそれでも(当たり前だが)本職の方々と比べたらクオリティでは遥かに劣る。 ちなみに、握り方にも幾つか種類があって、今回私が学んだのは横返しである。
初日に握った寿司。ネタの切り付けは先生がされていて、レッスン初日ではあるもののネタと仕込みが良いので普通に美味しかった。
2. 三枚おろし
レッスンに通うまでは一度も魚をさばいたことがなかったのだが、これも思っていた以上に難易度が高かった。 三枚おろしは手順が多く、またおろした後に骨を抜く手間もかかるため、思った以上に時間がかかるのだ。 レッスンを終えてからも何度か練習したが、未だに1尾さばくのに10分以上はかかってしまう。 それでいて1尾の鯵から握れるのは4-6貫程度なので、元々は「寿司は外食で食べるとやたら高いし自分で寿司を握れたらめちゃめちゃコスパ良くなるんじゃね?」と思っていたのだが、人件費を鑑みると全くそんなことはないことを思い知った。100円寿司とか、本当にあの値段で寿司を提供できているのが凄いと思う。
2日目に自分でネタをさばいたやつ。さばき方がだめだめで流石に美味しくなくなるんじゃないかと思いきや、仕入れているネタが良かったので普通に美味しかった。
所感
総論として、レッスンに通ったことは間違いなく自分の人生にとってプラスだったと感じている。 当初目論んでいた**「原価でコスパよくいい感じのお寿司を食べる計画」**はご破産となってしまったが、新たな経験をすることは純粋に楽しく、鮨屋に行って鮨職人の所作を見るのが楽しくなり、何より一応は寿司を握れるようになった。 「寿司レッスンに通ったんや」という話をすると「じゃあうちで寿司パーティーをしよう」という話が舞い込むことがあり、実際に友人宅で寿司パを開催したこともあるのだが、これもとても楽しい経験だった。 レッスン料は決して安いと言える金額ではないが、それでも金額に見合うだけの価値があったと思う。 寿司を食べるのが好きな方、何か新しいことにチャレンジしてみたい方、ぜひとも寿司レッスン検討してみてはいかがだろうか。